【Protra】共通コードを関数化して可読性を向上させる その2

前回「【Protra】共通コードを関数化して可読性を向上させる」で、「株数」,「データ有無の確認」,「売買」を Utlilty.pt として関数化しました。

しかし見直していく内に、いくつか改善ポイントが見つかりましので、今回は修正内容を記事にしたいと思います。

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改善内容

データがないときの売買ルール

前回 ストラテジ例として示した、followTest-2の売買に関するコードは、以下の通りです。

  • 翌日の始値がある場合(データが破損していない場合)⇨ 翌日の始値で購入
  • データがない場合は何もしない

となっています。

しかし売買ルールを評価する上で、特定日付を無視することは大数の法則より 好ましくありません。十分にデータが揃っていれば影響は微々たるものでしょうが、可能な限り考慮にいれるべきでしょう。

そのため、「翌日の始値がなければ、翌々日の始値を買う。もし翌々日の始値のデータがなければ当日の終値で買う」ように修正を加えることにしました。


上のコードを見ていただければ分かる通り、現在のコードでは当日終値売り・買い翌日始値売り・買い翌々日の始値買い・売りをUtility.ptに別々に準備する必要があります。

それでも良いのですが、より汎用性を持たせてコードを簡易化するために、作用素を用いて、始値買い・売り終値買い・売りのみを準備します。

投資予算制限の単利・複利

前回のUtility.ptでは損益を総予算に組み込む、つまり複利運用となっていました。

複利運用では後年になるほど複利の効果が大きくなります。つまり損益を過大に見積もってしまう危険性があります。バックテスト初期においては、単利でルール効果を確認することが有効でしょう。

以上を考慮して、Utility.ptに 単利・複利運用、および予算無制限の3つを選択できるように修正しました。

修正後

はじめに、Protra\systemに保管されるストラテジです。必要部分だけ記載します。

↓コード中の売買ルールはそれぞれ、「翌日の始値がなければ翌々日の始値を買う(売る)。もし翌々日の始値のデータがなければ当日の終値で買う(売る)。」を意味しています。

・・・

BuyingOpen/Close(i,d)  SellingOpen/Close(i,d)

つ目の引数は dは作用素に用いる日付です。(参考:Protraマニュアル「作用素」


続いて、修正を行ったUtility.ptです。

新しく導入した変数$Interestは、単利(1)・複利運用(2)、および予算無制限(それ以外)のフラグになっています。

それぞれは以下のように処理されています。

◆買い

もし単利(1) or 複利(2)なら、総予算$budgetから購入資金を減らす。予算無制限の場合は、総予算$budgetは変化しません。

◆売り

単利(1)なら、売値は買値と同じとみなし$budgetに戻します。手持ちがなくなったとき、総予算$budgetは 始めの設定金額に戻るわけです。イメージとしては、総予算を1,000万円だとすると、損失が出れば1,000万円になるように補填。利益が出て1,000万円を超えれば出金です。

損失だけ考慮に入れるなら、$budget = $budget + $buy[i] * $hold[i] ⇨ $budget = $budget + {d}Open/Close * $hold[i] に戻し、総予算が1,000万円を超えたときに、1,000万円に戻るようにif文を追加してください。

複利(2)なら、売却日の株価で売られ、総予算$budgetを増減させます。

予算無制限の場合は、総予算$budgetは変化しません。


今回はここまで。

その3に続きます。